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2021.12.01|ブログ

クリニック開業失敗例(医療法人②)

こんにちは!

株式会社Tcell 代表取締役 薬剤師×中小企業診断士の戸井優貴です。

前回は、医療法人の類型などについてお話ししました。

今回は引き続き医療法人の基礎知識についてお伝えしていきます。

前回持分あり、持分なし等の表記をしましたが、そもそも持分とは何か?についてまずお話しします。

医療法人にはこれまでは、これを現物出資とする「持分(もちぶん)」という概念があり、医療法人の成長とともにその価値が出資者(理事長ほか)に帰属するものとされていました。

しかし、第5次医療法改正により、平成19年4月以降に設立された医療法人については従来のような持分のある法人は認可されなくなり、持分のない「拠出金制度」(医療法人が解散しても残余財産の帰属が国等)に移行しています!

また、医療法人には出資者がいます。 

出資者とは、社団医療法人の設立時もしくは設立後に出資を行った方です。

社員と出資者は必ずしも一致しません。出資をしなくても社員となれます。

出資持分の相続を受けたものが社員でないとすると問題が発生しますので、注意が必要です。

一般的には、相続を受けていながら、社員となれない場合、遡って被相続人の出資持分の払戻請求が起きる可能性がありますので、事前の話し合いが必要です。

次に、医療法人の基礎知識として社団医療法人の構成及び管理運営面についてお話しします。

社団医療法人とは、その実体が社団(一定の目的のもとに結合した人の団体)である医療法人をいいます。

社団医療法人には、構成員である社員のほか、医療法の定めにより、社員総会、理事・監事、理事長などが置かれることになっています。

また、後記のとおり、理事会も設置されているのが一般的です。

最もポピュラーな「社団」といえば株式会社であると言われていますが、社団医療法人の基本的なガバナンスの仕組みは株式会社に類似しており、社員→株主、社員総会→株主総会、理事→取締役、理事会→取締役会、監事→監査役、理事長→代表取締役と置き換えてみると、イメージが掴みやすいですね。

ただし、株式会社においては、社員権(株主権)を細分化した割合的単位である株式が存在し、これと社員(株主)の地位が不可分に結合しているのに対し、社団医療法人には株式に相当する概念が存在しないなど、両者には大きな相異も存在します。社団医療法人における、社員総会と社員、理事会と理事の関係性を表した図表が次の「医療法人のイメージ図」です。

ここで、医療法人を設立したいと考えている先生から実際にあった問い合わせ内容とその答えをお話しします!

Q1.医療法人を設立するための財産の拠出はどれくらいかかりますか。

A.病院やクリニックの規模や設備によりけりです!ですが、「資産要件のひとつとして2ヶ月分以上の運転資金を有していること」が一般的です。医療機関や福祉施設は国民健康保険や社会保険の保険請求分が2ヶ月遅れで入金されますよね。ということは、設立してから2か月間は資金が尽きるという可能性があります。そういった事態にならないようにするために2ヶ月分の運転資金ということになります。

Q2.医療法人○○会が多く見られますが、何か規程あるの?

A.確かに「医療法人○○会」という名称が多いですよね。、この○○会という名称は法律上の規定ではありません。しかし!「グループ」「センター」等の大きく見せるような表現称、「国」「地方公共団体」等の名称、「内科会」「外科会」のように診療科そのものを名称とすること、「エステ」「インプラント」等は認められません。都道府県によっては○○会の形式にするよう指導されることもありますし、あまり奇抜な名称では社会的信用面で問題をかかえる可能性もありますので、医療法人として妥当な名称をおすすめいたします。

 

今回はここまでにします!

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