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2021.07.07|ブログ

クリニック開業失敗例(業許可について②)

 

こんにちは!株式会社Tcell 代表取締役 薬剤師×中小企業診断士の戸井優貴です。

今回はクリニック開業をするにあたり申請しなければならない書類・したほうがよい書類についてお伝えしました。

少しおさらいをしていきましょう。

一般的には以下の書類です。

①診療所開設届(保健所)

②診療所使用許可申請書(保健所)

③診療用X線装置備付届(保健所)

④麻薬管理者・施用者免許申請書(保健所)

⑤結核予防法指定医療機関指定申請書(保健所)

⑥保険医療機関指定申請書(厚生局)

⑦基本診療科の施設基準等に係る届出書(厚生局)

⑧生活保護法指定医療機関指定申請書(福祉事務所等)

⑨労災保険指定医療機関指定申請書(労働基準監督署)

⑩防火管理者講習の受講(日本防火・防災協会)

 

さて、なんという名称の書類をどこに申請するかはお分かりいただけたかと思いますが、各々の書類の内容をご存じでないと申請すべきかどうかもわからないですよね。

そこで今回は、それぞれの書類の内容などをあくまで一般論で、なるべく詳細にお話しします!

 

①診療所開設届 (届け出提出先:保健所)

診療所を開設する際に必ず提出しなければならない書類です。この申請をしなければ自費診療すらできません。

診療開設届に記載する内容としては、診療所の概要(診療所名、住所、診療所の広さ、医師・看護師・事務などのそれぞれの人数、申請する先生の氏名等)です。

ここで、注意点!!

診療所開設届の提出時期は開業日から10日以内と決められていますが、「開業日から10日後に出せばいいや」という考えは間違っています。

保健所は、診療所が適正に作られているかを確認する仕事があります。

例えば、診療所の名前。ほとんどないかと思いますが、公序良俗に反したり、他の診療所名と同一と感じられたら、直さなければなりません。

ある自治体のホームページには、

原則として、開設者(管理者)の姓を冠し、次の範囲内で名称を付けてください。診療所、クリニック、医院、診療科名。原則として、地名の使用は認められません。とあります。また、診療所名称として認められないものとして不当に患者の誘引を図り、虚偽誇大な宣伝となるような法令や医療広告ガイドライン等において広告が禁止されているものについては、診療所の名称に用いることはできません。

《具体例》・アンチエイジングクリニック ・No1 クリニック ・無痛治療院 など

と書かれています。

先生がこの診療所名に決めた!と思っていても保健所で差し戻しされる可能性があります。

実際に診療所開設届を開業日から10日後に届けてしまい、保健所スタッフが見に行ったところ診療名が他の診療所と酷似している、内装が法令に則っていないという指摘をされ、開業予定日に開業ができなかったという事例があります。

これまで製作してきた看板やチラシ、ホームページなどもすべて変更し、施工も再度やり直す必要があり、無駄なお金が発生してしまう事態を招きました。

今このブログを読まれている先生には、そのような事態になってほしくありません。

4月1日に開業すると仮定した場合、4月1日にはおそらくすでに建築・土地、診療所名を書いた看板等々が完成されています。

ゆったり診療所開設届を4月10日に申請したら、まずストレートに受理されることはありません。

ほとんどの診療所は、開設時に「構造設備の概要及び平面図等」を保健所に一度見せる事前相談を行っています。

先生がやりやすい構造設備にするのはもちろん大事ですが、診療所にはいろいろな決まりがあります。

そのひとつとして、医療法施行規則にある診療所の主な構造設備として、以下のことがあげられています。

 

〇外部構造

⑴他の施設と機能的かつ物理的に区画されていること。

⑵診療所として有機的関連性を有していること。

【診療所と居宅が併設されている場合】

 診療所と居宅の出入口、階段等が別々に設けられ、独立に出入りが可能で、内部においても明確に区画されていること。

【ビル内の場合】

⑴ビルの階段、廊下、店舗、事務所等と診療所が明確に区画されていること。

⑵診療所が複数のフロアにまたがる場合は、同一の管理者による管理及び患者等の往来に支障をきたさないこと。

⑶フロア間の機能を十分考慮した上で、利用する患者の往来の頻度や病態等を勘案し、

衛生面や保安面などで医療の安全性が十分に確保されていること。

〇内部構造

内部構造については、原則として必要な各室が独立していること。

⑴待合室、受付、調剤所、診察室が区画され、それぞれ独立していること。ただし、受付と待合室の区画については、オープンカウンターの受付など、完全な区画でなくてもかまわない。

⑵各室の区画は、少なくともパーテーションを使用したものであって、天井から床まで区画されていること。(カーテン、アコーディオンカーテン等は不可)

⑶患者のプライバシーに配慮した区画及び構造とすること。

⑷エックス線装置のある場合は、エックス線室以外に操作部門が設置されていること。

その他遵守すべき法令として、診療所の建物は、建築基準法だけを考え設立することができません。

その他、守らなければならない法令をご紹介します。

・医療法

・バリアフリー法

・地方公共団体条例(まちづくり条例)など

・定期報告制度 等

開業をするだけなら、手続き上開設届を申請すればできます。

しかし建物においては上記のさまざまな法令が絡んでしまいとても複雑です。

そのため、開業してしまう前に、診療所を建築してしまう前に事前相談を行い、基準に則った構造にしていく必要があります。

口酸っぱくお伝えします。保健所ホームページには開業後10日以内にとありますが、診療所の建築前には必ず事前相談を行いましょう。

これを抜かすとあとでとんでもないことになるので・・・

 

診療所開設届の注意点についてはこのような感じです!あとは添付書類が結構多いですが、保健所の指示に従ってご準備をお願いします。

 

業許可編、まだまだ続きます!

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