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2021.06.16|ブログ

クリニック開業失敗例②(開業地編)

 

こんにちは!株式会社Tcell 代表取締役 薬剤師×中小企業診断士の戸井優貴です。

経営者でもある(クリニックではないですが)ので経営者としての話も今後少しずつできればと考えています。

 

今回はかなりダークな話をします。

開業される方はお忘れのないように・・・

※めちゃくちゃよく聞く話です

 

先生は何をもって開業地を決めますか?

「知っているところ、土地を持っているところ」

この理由はいいですね!!

土地勘があって等はやはり強みになります。(厳密にいえばその中でもダメなところはもちろんあります)

 

ただ・・・「コンサルが言ったから」とか「取引のある医薬品の営業担当者が言ったから」という理由は

ちょっと待ってください!

その人は本当に先生のことを考えていますか?

 

こういったものが絶対に悪いというわけではないです。素晴らしい方も多くいます。

ただ、残念ながらそういった人ばかりではありません。

実際にそれで失敗している先生を多く見ています。

「開業地、初期投資はあとから変更することができません。」

つまり経営者としての最初の意思決定で極端な話をするとクリニック経営の最後までの道筋が決まってしまいます。

 

話をわかりやすくするために極端な例を話します。

開業地が住宅がほぼなく住んでいる人がほとんどいない中でクリニックを開業したらどうでしょうか?

満足のいく集患ができませんよね。

その結果、売上に繋がらなくて結果的に十分な収入が得られないということもあります。

またその逆もしかりで、人口は多いけど、クリニックの過密地帯、しかも住民のほとんどが他のクリニックに囲まれている・・・

そういった状態では開業しても患者さんを集めることができません。

細かい話は置いておいてこんな感じのことを考えないといけません。

 

つぎに初期投資です。

初期投資は本当に大変な目にあう可能性もあります。

本当にその開業費が必要かしっかり確認してください。

特に、医療機器や内装工事費等の大きな金額については特に注意してください。

必要以上の投資じゃないですか?必要以上に華美じゃないですか?

先生は医師という社会的信用度の高い属性の方々です。

良くも悪くも銀行からお金が借りられてしまうんです。それが例え実現可能性の低い計画であっても・・・

そのため本来不要であってもお金が借りれてしまう。というデメリットがあります。

 

これがなぜデメリットかということを簡単に説明します。

3億円の開業資金を全額融資で行って、20年で返済するとすると年間1,500万円の返済が必要ですね。

それを設備資金(医療機器や内装工事)に使っているとすると、開業前にそのお金はもうありません。

つまり換金性のない(医療機器に関しては全くというわけではないですが、医療機器の中古は大幅に金額が下がります。)

固定資産が残っている状態になります。

さらに簡単に事業収支の話をすると

 

売上 ― 経費 = 利益

利益 × 税率 = 税金

 

となります。ただこの経費の中には融資の返済金は入りません。(利息分は入ります。)

また個人事業主で始めると先生の取り分も経費じゃありません。

そのため

売上(1億)―経費(8,000万円)=利益(2,000万円)

利益(2,000万円)×税率(約25%)=500万円(税金)

利益(2,000万円)―500万円(税金)―1,500万円(融資返済)=0

(※税率は簡単にするために概算で話していますので正確ではありません。詳しくは税理士の先生にご確認ください。)

 

・・・???先生の取り分ないですね(´;ω;`)

 

先生の取り分を考えると事業としては黒字、キャッシュフロー(お金の流れ)が赤字ということになります。

よく言われる赤字倒産はこういう仕組みでなるんです。

売上をあげればいいんじゃない?と思われるかもしれませんが、

クリニックで先生がおひとりだと患者さんを診ることのできる数も限界がありますよね。

また経費に関しても創業時に決めたものは削減することが難しい場合もあります。(家賃、人件費等)

そのため開業の際にはしっかりと事業計画を立てて、納得のいく数値計画にしてくださいね!

ちなみにここまで書きましたが、私は必要な融資は賛成派です。

これについてもおいおい話していきたいと思います。

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